月も魚も遠いけど。

ブロマンス・BL小説をメインに執筆する瀬名那奈世が創作や生活について語ります。

小説の書き方 2 企画

こんにちは! 瀬名那奈世です。

今回は小説の書き方の第2回になります!

 

〇第1回の振り返り

 

第1回では、執筆の大まかな流れを共有した後、『構想・アイディア出し』についてお話ししました。アイディアが出やすいシチュエーションなど紹介しましたので、未読の方はぜひこちらからどうぞ!

 

tsukimosakanamo.hatenablog.com

 

〇【ステップ2】企画

 

今回からいよいよ、本格的に小説執筆に向けて動き出していきます!

 

【ステップ2】では、【ステップ1】で出てきた小説のイメージをまとめていきます。私はこの作業を『企画』と呼んでいます。

 

まとめるのは以下の5項目!

 

①タイトル

②予定文字数

③ジャンル

④テーマ

⑤キャラクター、世界観

 

1つずつ解説していきますね。

 

〇タイトル

 

何はともあれ、まずはタイトル! 私は割と語感で決めちゃいます。

 

タイトルに引っ張られてジャンルや内容が決まっていくことも多いので、仮でいいのでこの時点で決めておきましょう!

 

いいタイトルを考えて、ちゃんと回収できるように構成を考えていくと、作品にまとまりが出ます。

 

参考になるかはわかりませんが、私の作品のタイトル例を紹介しますね。

 

・例1:『チョコミントはおあずけ』(ジャンル:BL)

→ジャンルが先に決まっていたこの作品。BL=ドタバタの末、ハッピーエンド! っていう印象があったので、初めてのBL小説はポップな感じで……!

 

『チョコミント』はBL漫画の表紙に書いてあったら可愛い単語かな、と思いました。『おあずけ』も、ちょっと小悪魔的で妄想が膨らむので、恋愛ものにはぴったりなチョイスだったと思います。

 

最後まで読むとタイトルを回収できる展開になっています。

 

・例2:『月の沙漠』(ジャンル:ブロマンス)

→個人的に『孤独』をテーマに書いたこの作品。同名の歌があり、作中にも出てきます。

 

『砂漠=都会、社会』みたいな図式が自分の中に存在していて、それを元に作品を執筆していきました。いざという時のモチーフに月を出したり、砂漠に投げ出されてしまったような孤独感と、共に歩く人がいることの幸福を表現できるように頑張ってみたり……と、タイトルに寄せることで作品がまとまっていったように思います。

 

・例3:『神春伊咲の生業』(ジャンル:お仕事もの、ブロマンス)

→いわゆる探偵ものみたいな、キャラクターメインのお仕事小説を書きたくて、完全に人名から決めてかかったこの作品。『神春』が当て字になっていて、『神原』じゃないところがポイントです。現在は公募に応募中。

 

伊咲のふわっと温かい性格は『春』という漢字に寄せて考えていきました。

 

〇予定文字数

 

タイトルの次は全体の文字数を決めていきます。あくまで個人的なイメージですが、

 

短編:4万文字まで

中編:4万文字~10万文字まで

長編:10万文字以上

 

くらい(?)

 

10万文字あると、文庫サイズで同人誌を作った時にいい感じの厚みが出てくる印象です。公募に出したい時はここでしっかり文字数を確認しておきましょう! 

 

ちなみに、執筆初心者の方はいきなり長編に挑戦するよりも、まずは2万文字くらいの短編を書けるように練習していくといいと思います。テーマやキャラを揃えて連作にすれば5本で文庫一冊分にできますし、市販の長編小説も細かく見ていくと、4~5話で話を一区切りさせながら物語を展開させていますよね。

 

文章が長くなりがちな人は、3万文字くらいを目安にしてもいいと思います。私は結構あっさりしちゃって長く書けないので、文字数を書ける人がうらやましいです笑

 

〇ジャンル

 

難しい人には難しいポイントなんですが、コメディかシリアスかくらいは決めておきましょう! 毎回かなりジャンル迷子人間の私は、「こんな雰囲気にしたいな」という作品を決めています。

 

例えば、『神春伊咲の生業』は、長埜恵『怪異の掃除人・曾根崎慎司の事件ファイル』を意識していました(実は、長埜さんが作家デビューされる前から応援していた作品です。ビックラブ!)。不思議なことに、全く似ていませんが……笑

 

 

 

 

もしアイディア出し段階で影響を受けた作品があれば、そこから一つ選んでもいいですね! 雰囲気が定まれば小説でも漫画でもアニメでも映画でも、なんでもいいと思います。

 

公募の場合、カテゴリーエラーとかあると悲しいので、この段階で「本当にこの賞に合っている作品かな?」ともう一度考えておくのは大切です。ただ、賞に応募するためにジャンルを変えるのは個人的にあんまりしっくりきません。「自分の作品に合う賞を選んでやるぜ!」という気持ちで公募生活を送っている今日この頃。

 

〇テーマ

 

これは榎本秋『面白い小説を書くためのプロット徹底講座』を読んで、いいなー! と思って取り入れました。ざっくりまとめると、『自分はこの作品で何を一番描きたいか』です。

例えば、ヒロインを可愛く書きたい! とか、とにかくギャグを面白く書きたい! とか……。本当になんでもいいみたいです。こういうのって、そのまま作品の魅力になったり、作家性につながっていったりしますよね。

 

私はどんな作品でも、結局「この二人の関係性を魅力的に描きたい!」に収束する気がします。果たしてできているでしょうか?笑

 

執筆の原動力になるポイントでもあるので、自分の気持ちに正直になって考えてみてくださいね。

 

 

 

 

〇キャラクター、世界観

 

ここまで決めてから、キャラクターや世界観のまとめに入っていきます。次回でしっかり構成を考えるので、この時点では思いついたエピソードや設定、キャラクターをとにかく羅列しましょう! ステップ①で断片的にメモしてきたアイディアたちを一ところにまとめるイメージです。

 

ただ、この段階で注意してほしいポイントは、【要素を取捨選択すること】です。

 

例えば、2万文字の短編の予定なのに、どんでん返しが三つも四つもあるような壮大なミステリーを書こうと思ったら、確実に文字数オーバーになってしまいますよね。

 

反対に、平凡な高校生のほんわかラブコメで10万文字は厳しいと思います。

 

『文字数に適した内容』もしくは『内容に適した文字数』というのが必ず存在するので、書き始めてから「こんなはずじゃなかった!」となる前にしっかり考えておきましょう。

 

もし、バランスがわるいな、と感じた場合は、以下のどちらかの手段で調節します。

 

①文字数に内容を合わせる

 

→文字数は変えず、内容で調節するパターンです。基本的に、エピソードや登場人物を増やせば文字数が増え、減らせば文字数が減ります。

 

こうやって文字にすると当たり前のようですが、この感覚を肌で掴むのが意外と難しいんですよね……。

 

これは私の経験でしかないですが、5万文字までは多分、一つの起承転結でギリギリいけます。恋愛モノで言うと、【出会い(起)→進展(承)→ピンチ(転)→結ばれるor破局(結)】の流れですね。

 

それぞれのセクションのエピソードを増減したり、友人を登場させたりといった細かい細工でなんとかなるのが5万文字くらいまでです。

 

一方、10万文字近い長編を書きたい場合は、各話の起承転結に加えて、物語全体の起承転結を組み込んでいくのがポイントです。つまり、ただの恋愛もので終わりにするのではなくて、

 

【出会い(起)→進展(承)→ピンチ(転)→結ばれる(結)

→実はヒロインは月の姫で、次の満月の日に月に帰ってしまう(新たな起)

→主人公は自分も一緒に月に行くかどうかで葛藤する(新たな承)

→地球での生活を捨てられず、月に行かないという選択をする(新たな転)

→主人公は月の掟でヒロインと過ごした記憶を失ってしまうが、大人になっても月を見るたびに切ない気持ちになる(新たな結)】

 

みたいな感じでしょうか(なんだこの冴えない例えは……)。

 

キャラクター小説でよく見かけるのは、【様々な依頼をこなす中で主人公の壮大なトラウマが明らかになり、最終的にそれを解決する】パターンです。漫画でも定番ですね(ヤマシタトモコ『さんかく窓の外側は夜』とか。大好きです!)。『神春伊咲の生業』もこのパターンでいきました。

 

 

 

 

特に長編を書きたい場合、長く語るに値する要素をきちんと盛り込んでおくのが、後で困らないためのコツになります。

 

②内容に文字数を合わせる

 

→内容は変えず、文字数で調節するパターンです。公募だとなかなか難しいですが、同人活動では結構役に立つ視点です。

 

例えば私は、週一更新で『夜半過ぎまで』というBL作品を連載しています。一話600文字くらいの超・短編の連作になっています。

 

公募のために長編をメインで書いていると、ちょっとした日常ネタみたいなのが定期的に恋しくなっちゃうので、だったらそういうのを書ける場を用意しとけばいいじゃん? の精神で始めました。お隣さんの日常みたいな、よくも悪くも何も起こらない、日記みたいな小説を目指しています(実際、日記みたいに毎晩少しずつ書き溜めています)。

 

これって、【超・短編の連作】って決めているからできる書き方だし、受け入れてもらえる作品ですよね。文字数が増えれば増えるほど物語をまとめるための起承転結がないとキツいし、読者だってなんらかの展開を期待するはずですから。

 

『夜半過ぎまで』は内容に合わせて文字数を短くしたパターンですが、反対にどこまでも長く書けるぜ! って人もいると思います。そういう人は小説投稿サイトでの連載がめちゃくちゃ向いていると思います。なんてったって文字数制限ありませんからね……! 

 

〇今回のまとめ

 

というわけで、今回は『【ステップ2】企画』についてまとめてみました。長々とお付き合いいただきありがとうございました!

 

この作業のポイントは、その名の通り、『誰かにプレゼンするつもりで取り組む』ことです。文章だけでなくキャラクターのイラストを描いてみたり、キャッチコピーを考えたりするのもありですね。私はよく、追加で同人誌にした時の表紙を妄想します笑

 

とにかく一番大切なのは、自分自身が『この小説読んでみたい!』と心から思えることです。この時のワクワク感が今後の執筆の意欲を左右すると言っても過言ではありません……!

 

次回は『構成』についてまとめていきたいと思いますので、お楽しみに!